「実家じまいは誰がやるべきなのか」「費用は兄弟でどう分けるのか」——親の家をどうするか考え始めたとき、多くのご家族がこの2つの疑問にぶつかります。結論からお伝えすると、実家じまいを進める人(主導者)と費用を負担する人は、必ずしも同じでなくてよく、法律で決まったルールはありません。多くの場合、実家を相続する人が主導し、費用は相続人全員で法定相続分に応じて分担するのが一般的な目安ですが、最終的には話し合いで柔軟に決めることができます。
この記事では、「なぜ長男・長女に負担が偏りやすいのか」「費用の分担割合はどう決めればよいか」「話し合いで揉めないためにはどうすればよいか」を、実際の分担例や合意書の作り方も交えてご説明します。片づけDo!は取手市・牛久市・守谷市を中心に茨城県内で実家じまいと遺品整理を承っており、「誰が何をやるか」を決める段階からご相談いただくことも多くあります。まずは全体像をつかんでいただければと思います。
実家じまいの「主導者」と「費用負担者」は分けて考える
実家じまいを考えるとき、多くの方が「誰がやるか」と「誰が払うか」を一つの問題として捉えてしまいますが、この2つは分けて考えると整理しやすくなります。
| 役割 | 担う人の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 主導者(進行役) | 実家に近い人、実家を相続する予定の人、時間の融通が利く人 | 業者の手配・立ち会い・自治体手続きなど「手を動かす」役割 |
| 費用負担者 | 相続人全員(法定相続分に応じるケースが多い) | 金銭的な負担。実家を相続しない人も応分の負担をするのが一般的 |
| 情報共有役 | 誰でも可(LINEグループの管理など) | 進捗を可視化し「知らないうちに進んでいた」という不満を防ぐ |
「実家の近くに住んでいるから」「長男だから」という理由だけで一人がすべてを背負ってしまうと、労力と費用の両方が偏り、後々の不満につながりやすくなります。まず「誰が主導するか」と「費用は誰がどう負担するか」を分けて話し合うことが、揉めないための第一歩です。
なぜ長男・長女に負担が偏りやすいのか
「長男だから実家を継ぐのが当然」「跡取りなのだから面倒を見るべき」——こうした考え方は今も根強く残っていますが、法律上、きょうだいの生まれた順番によって扶養や実家じまいの義務に優劣がつくことはありません。実際には、以下のような理由で特定の人に負担が偏りがちです。
- 実家の近くに住んでいて、動きやすいという物理的な事情
- 「同居していた」「親と関係が深かった」という心理的な引け目
- 他のきょうだいが「言い出しにくい」「関わりたくない」と距離を置いてしまう
- そもそも話し合いの場自体が設けられていない
本来は、実際に現地へ通って作業をする「実働」と、金銭的に支える「金銭支援」を分担するという考え方が現実的です。たとえば遠方のきょうだいは実家に通う時間が取れない代わりに費用を多めに負担し、近くに住むきょうだいは作業の主導役を担う、といった役割分担であれば、双方が納得しやすくなります。
費用は誰が払う?法定相続分を目安にする考え方
実家じまいの費用負担について、法律に明確な定めはありません。ただし一般的な慣行としては、相続人全員が法定相続分に応じて按分するという考え方がよく使われています。たとえば配偶者はすでに他界しており、子ども3人が相続人であれば、実家じまいの費用も3等分するという考え方です。
ただし、これはあくまで「よく使われる目安」であり、実際には次のようなパターンも広く行われています。
| 分担パターン | 内容 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 法定相続分で按分 | 相続割合に応じて費用も分ける | 相続人の関わり度合いに大きな差がない場合 |
| 実家を相続する人が全額負担 | 実家(または売却代金)を受け取る代わりに費用も引き受ける | 実家に資産価値があり、一人が相続する場合 |
| 売却代金から精算 | 実家を売却し、その代金から片付け・解体費用を差し引いた残りを分配 | 実家じまい後に不動産を売却する場合 |
| 関与度に応じて調整 | 実働を担った人の負担を軽くする、または他のきょうだいが多めに払う | 労力の偏りが大きい場合 |
実家に資産価値がある場合は、不動産の売却・買取まで含めて考えると、片付け費用を売却代金から精算できるため、誰か一人が立て替えて負担が偏る事態を避けやすくなります。片づけDo!では遺品整理・実家じまいと合わせて、不動産の売却や買取についてもご相談いただけます。
実家じまいそのものの費用相場については「実家じまいの費用はいくら?平均額と内訳、安く抑える方法」で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
相続放棄を考えている場合は要注意
「実家じまいの費用を誰が払うか」を考えるうえで、もっとも注意していただきたいのが相続放棄との関係です。故人に借金などのマイナスの財産があり、相続放棄を検討している場合、実家じまいの費用を故人の預金口座から支払ったり、遺品を売却して得たお金を使ったりすると、「相続財産に手をつけた」とみなされ、法定単純承認(民法921条)が成立し、相続放棄ができなくなるおそれがあるとされています。
相続放棄を選択肢として残しておきたい場合は、実家じまいに着手する前に、必ず弁護士や司法書士などの専門家にご相談ください。この点は個別の事情によって判断が分かれるため、本記事では断定を避けています。相続放棄を検討される際の注意点は「実家じまいでやってはいけない5つの失敗」でも取り上げていますので、あわせてご確認ください。
費用が足りない・お金がないときは
「実家じまいの費用を払う余裕がない」というご相談も少なくありません。その場合は、遺品の買取で費用の一部を相殺する、自治体の補助金・助成金制度を利用する、社会福祉協議会の貸付制度を検討するといった方法があります。詳しくは「実家じまいのお金がないときは?費用を工面する5つの方法」でご紹介していますので、あわせてご覧ください。茨城県内の補助金制度については「実家じまいの補助金・助成金はある?」でも市町村別にまとめています。
揉めないための3つのポイント
実家じまいで家族間のトラブルを避けるために、特に大切な3つのポイントをご紹介します。
① 早い段階で全員が集まって話し合う
一人が先に動き始めてしまうと、他のきょうだいから「勝手に進められた」という不満が出やすくなります。実家じまいを検討し始めた段階で、できるだけ早く相続人全員が集まる場(難しい場合はオンラインでも可)を設け、方針を共有することが大切です。
② 分担内容を書面に残す
「誰が」「何を」「いつまでに」担当するのか、そして費用の負担割合を、簡単なものでよいので書面やメールなど形に残る形で共有しておくことをおすすめします。口約束だけでは、後になって「言った・言わない」の食い違いが生じやすくなります。次のような項目を決めておくと安心です。
- 実家じまいの総費用の見込み額
- 誰がいくら(または何割)負担するか
- 業者への支払いは誰の名義で行うか、立て替えの精算方法
- 形見分けの方法(誰が何を引き取るか)
- 実家を売却する場合、代金の分配方法
③ 進捗をこまめに共有する
LINEグループなどで写真や進捗を共有しながら進めると、「自分だけが知らないうちに片付けが進んでいた」という不満を防げます。特に遠方に住むきょうだいには、現地の状況が伝わりにくいため、こまめな共有が信頼関係を保つポイントになります。近隣や親戚への挨拶については「実家じまいの近所・親戚への挨拶|文例と手土産の選び方」もあわせてご参照ください。
役割分担のシミュレーション例
実際によくあるきょうだい3人のケースで、役割分担の一例をご紹介します。あくまで一例であり、ご家庭の状況に応じて調整してください。
| 立場 | 役割の例 | 費用負担の例 |
|---|---|---|
| 実家の近くに住む長女 | 業者との立ち会い、自治体手続き、進捗の写真共有 | 法定相続分どおり(例:3分の1) |
| 遠方に住む長男 | 月1回程度の帰省、重要書類・貴重品の確認 | 法定相続分どおり、または実働が少ない分やや多めに負担 |
| 海外在住の次男 | オンラインでの情報共有への参加、意思決定への合意 | 法定相続分どおり(送金や振込で対応) |
このように「動ける人が動き、動けない人は金銭や意思決定で貢献する」という形にすると、一人に負担が集中しにくくなります。実家じまい全体の進め方や期間の目安については「実家じまいとは?費用・手順・期間をわかりやすく解説」、具体的な9つのステップは「実家じまいの手順|何から始めるか、9つのステップで解説」で詳しくご紹介しています。
話し合いがまとまらないときの相談先
きょうだい間の話し合いだけでは解決が難しい場合、第三者を交えることで冷静に進められることがあります。相続財産の分け方そのもので意見が対立している場合は、弁護士や司法書士、家庭裁判所の遺産分割調停といった制度も選択肢になります。茨城県内の無料相談窓口は「茨城県の相続の無料相談窓口一覧」でまとめていますので、あわせてご覧ください。なお、法律・税務に関わる内容は個別の事情によって判断が異なるため、正式な手続きの前には必ず専門家にご確認ください。
よくある質問
Q. 実家に住んでいなかったきょうだいも費用を払う必要がありますか?
法律上の義務ではありませんが、相続人であれば実家じまいの費用も相続財産に関する負担として、法定相続分に応じて分担するのが一般的な考え方とされています。実家に住んでいなかった、関わりが少なかったという事情も踏まえて、話し合いで負担割合を調整することも可能です。
Q. 一人が費用を立て替えた場合、後から請求できますか?
可能ですが、後になるほど金額や内訳の食い違いが起きやすくなります。立て替える前に、他の相続人に負担割合と精算時期を伝え、できれば書面やメールで残しておくと、後々のトラブルを避けやすくなります。領収書もまとめて保管しておきましょう。
Q. きょうだいの一人が「関わりたくない」と話し合いを拒否したら?
相続財産である以上、実家じまいや相続の手続きには本来すべての相続人の関与が必要です。話し合いに応じてもらえない場合は、書面で状況を伝えたうえで一定期間の返答を待つ、家庭裁判所の遺産分割調停を利用するといった方法があります。感情的な対立が背景にある場合は、弁護士など第三者を介したほうがスムーズに進むこともあります。
Q. 業者に依頼する場合、支払いは誰の名義にすればよいですか?
決まりはありませんが、実家じまい全体を主導する人(相続人代表など)の名義で支払い、後日相続人間で精算する形が一般的です。見積書・請求書・領収書は、精算のためにも必ず保管しておくことをおすすめします。
まとめ|「誰がやるか」より先に「どう分担するか」を決める
実家じまいは、法律上「誰がやらなければならない」という決まりはありません。長男・長女だからといって一人で背負う必要はなく、実働と費用負担を分けて、相続人全員で話し合って決めることが基本です。費用は法定相続分を目安にしつつ、実家を相続する人が多めに負担する、売却代金から精算するなど、ご家族の状況に合わせて柔軟に決めてかまいません。大切なのは、早めに話し合いの場を持ち、決めた内容を書面に残しておくことです。
片づけDo!は取手市・牛久市・守谷市・つくば市を中心に、実家じまいや遺品整理のご相談を承っています。「まずは何から話し合えばいいか分からない」という段階でも構いません。お見積もりは無料です。お電話(0120-306-122/8:00〜21:00・年中無休)または無料見積もりフォームよりお気軽にご相談ください。
無料見積もり依頼フォーム
この記事に関するお見積もり・ご相談はこちらから。秘密厳守で対応いたします。