「身寄りがない」「一人暮らしだから、もし何かあったら誰が動いてくれるのか分からない」——おひとりさまの生前整理は、結論から言うと①お金・財産の管理を任せる制度(成年後見・任意後見)、②もしものときの事務を頼む契約(死後事務委任契約)、③気持ちや希望を書き残す遺言書・エンディングノートの3つを、判断能力があるうちに準備しておくことが何より大切です。この記事では、その具体的な進め方と、取手市・守谷市・つくば市・水戸市の相談窓口を順にご紹介します。
結論:おひとりさまの生前整理で、まず押さえておきたい5つのこと
詳しい内容は本文でご説明しますが、まずは全体像だけお伝えします。
- 判断能力があるうちに「任意後見制度」を検討する(自分で後見人を選べる唯一のタイミングです)
- もしものときの事務を託す「死後事務委任契約」を結んでおく(葬儀・納骨・行政手続きなどを頼める相手を決めておく)
- 遺言書やエンディングノートで希望を書き残す(財産の行き先・葬儀の希望・連絡してほしい人など)
- 自治体の地域包括支援センターに「存在」を知っておいてもらう(見守り・相談の最初の窓口になります)
- モノの整理は、できるところから少しずつ進める(一度に全部やろうとしないことが長続きのコツです)
どれも「今すぐ全部」でなくて構いません。お一人で抱え込まず、ひとつずつ確認していきましょう。
なぜ「身寄りがない」人の生前整理は早めの備えが大切なのか
配偶者や子どもなど身近な家族がいない、あるいは頼れる家族が遠方にいる状態で判断能力が低下したり、急な入院・入所が必要になったりすると、次のような場面で「代わりに動いてくれる人がいない」という壁にぶつかることがあるとされています。
- 入院や施設入所の際に求められる「身元保証人」「緊急連絡先」が立てられない
- 認知機能が低下した場合、預金の引き出しや契約の変更を自分で行えなくなる
- 万が一のとき、葬儀・納骨・住居の片付け・各種契約の解約などを誰に頼めばよいか決まっていない
- 孤立したまま発見が遅れてしまう「孤独死」のリスクが相対的に高まるといわれています
こうした場面は、判断能力があり、まだ体力にも余裕があるうちに準備しておくほど選択肢が広がります。「まだ早い」と思えるタイミングこそ、実は一番動きやすい時期です。
判断能力が心配になったときのために|成年後見制度(法定後見・任意後見)
認知機能の低下などで判断能力が十分でなくなった場合に、本人に代わって財産管理や契約などを行う人(後見人)を選ぶ仕組みが「成年後見制度」です。法務省によると、この制度には「法定後見」と「任意後見」の2種類があり、大きな違いは後見人を誰が選ぶかにあるとされています。
| 制度 | 後見人を選ぶタイミング | 後見人を選ぶ人 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 任意後見制度 | 判断能力があるうち(事前に契約) | 本人が自分で選ぶ | 「この人に頼みたい」という希望がある方 |
| 法定後見制度 | 判断能力が低下した後 | 家庭裁判所が選任 | すでに判断能力が不十分になっている方 |
おひとりさまの場合、「誰に頼むか」を自分の意思で決められる任意後見制度を、判断能力が十分なうちに検討しておく方が選択の自由度は高いとされています。任意後見契約は公正証書で結ぶ必要があり、将来、実際に後見が必要になった段階で家庭裁判所に申し立てて効力が生じる仕組みです。手続きの詳細や費用は個別の事情により異なるため、公証役場や弁護士・司法書士などの専門家、お住まいの地域包括支援センターにご確認ください。
もしものときの事務を頼める|死後事務委任契約とは
成年後見制度は「生きている間」の財産管理が対象で、ご本人が亡くなった後の事務(葬儀の手配、納骨、関係者への連絡、賃貸住宅の解約、行政機関への届出、遺品の整理など)は原則カバーしません。そこで活用されるのが「死後事務委任契約」です。これは、亡くなった後に必要な事務の手続きを、生前に第三者(専門家や信頼できる知人・団体など)に依頼しておく契約で、証明力や実行力の観点から公正証書で作成するのが一般的とされています。
頼める内容の例としては、葬儀・火葬・納骨の手配、医療費や施設利用料の清算、家財・遺品の整理の手配、行政手続き(死亡届に関連する各種届出の補助)などが挙げられます。契約内容や依頼先によって範囲や費用は大きく異なるため、「何を・誰に頼むか」を公正証書作成前にできるだけ具体的に書面で詰めておくことが大切です。遺品の整理そのものについては、私たち片づけDo!にもご相談いただけます。
身元保証・死後事務のサービスを選ぶ前に|契約内容と費用を手元で整理する
おひとりさま向けには、身元保証・死後事務・日常生活の支援などをまとめて提供する民間サービスもあります。便利な一方で、契約の中身や費用、お金を預ける場合の返金条件は事業者によって異なります。消費者庁は「高齢者等終身サポート事業」の利用について、サービス内容や自身の支払能力などを確認し、不安があれば消費生活センターや地域包括支援センターに相談するよう案内しています(消費者庁の注意点のページ)。
国民生活センターの「見守り新鮮情報」第511号(2025年5月29日)では、80歳代の方が身元保証・生活支援・葬送支援の契約で約190万円を支払った事例が紹介されています。説明では「それ以外にお金はかからない」と聞いていたのに利用のたびに請求があり、解約時には支払った額の半分しか返せないと言われた、という内容です(国民生活センターの該当ページ)。同じ失敗を避けるために、契約する前に次の5点を紙に書き出して比べることをおすすめします。
確認する5つのポイント
| 確認すること | 見る場所 | 手元のメモに書くこと |
|---|---|---|
| 契約の対象になる業務 | 契約書・重要事項説明書 | 身元保証・死後事務・日常生活支援のどれが含まれ、何が含まれないか |
| 支払総額と追加費用 | 見積書・料金表 | 最初に払う額、利用のたびにかかる額、実費、合計の目安 |
| 預託金と解約時の返金 | 契約書の解約・返金の条項 | 預けるお金の額と根拠、管理の方法(事業者の運転資金と分けて管理されているか)、解約したときに戻る額 |
| 事業者の支払能力・情報の公開 | 事業者のホームページ・説明資料 | 事業者の情報やサービス内容が公開されているか。財務に関する情報が公開されているかも確認する |
| 困ったときの相談先 | 重要事項説明書・自治体の窓口 | 事業者の相談窓口の連絡先、お住まいの市の窓口、消費生活センター(消費者ホットライン188) |
国は「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」(令和6年6月)とその別紙チェックリストを公表しています。チェックリストには、身元保証・死後事務・日常生活支援の内容と費用が明示されているか、解約料が適正か、預託金の額・根拠・管理方法が示されているか、重要事項説明書と契約書が交付されるか、といった項目が並んでいます(別紙チェックリスト(PDF))。気になるサービスがあれば、このチェックリストを見ながら、事業者に質問して回答をメモしておくと比べやすくなります。

契約を急がないための3つの習慣
- その場で契約せず、契約書と重要事項説明書をいったん持ち帰って読む
- 複数のサービスの説明を聞き、総額と解約時の返金を同じ表で比べる
- 自治体の見守り・相談サービスや地域包括支援センターで利用できる支援を先に確認する
身元保証・死後事務・預託金を伴う契約そのものの内容や、契約するかどうかの判断は、サービスの提供者に加えて、弁護士・司法書士・行政書士などの専門家や消費生活センターにご確認ください。片づけDo!がご相談を受けられるのは、家財や遺品の整理・片付けの部分です。
家財や遺品の処分を「誰が」決めるのかを書き出す
亡くなった後の家財の整理・処分には、相続人がいるか、賃貸住宅か持ち家かなどによって、関わる人や必要な確認が変わります。死後事務委任契約に「家財・遺品の整理」を含める場合は、どこまでの処分を誰に任せるのか(形見として残したいもの、処分してよいもの、判断を保留するもの)を契約書の文言として具体的に確認してください。迷う点は、契約前に弁護士・司法書士・行政書士などの専門家にご相談ください。
気持ちや希望を書き残す|遺言書とエンディングノート
財産を誰に渡したいか、葬儀はどのように行いたいか、連絡してほしい人は誰か——こうした希望を書き残す方法には「遺言書」と「エンディングノート」の2つがあります。遺言書は法的な効力を持ち、財産の分け方などを決めることができます。一方エンディングノートには法的効力はありませんが、医療・介護の希望や連絡先の一覧など、遺言書には書きにくい日常的な希望を自由に書き残せます。両方を用意しておくと安心という考え方が一般的です。
遺言書は自分で書く「自筆証書遺言」と、公証人に作成してもらう「公正証書遺言」が代表的です。自筆証書遺言は2020年から法務局による保管制度(自筆証書遺言書保管制度)が始まり、紛失や改ざんのリスクを減らせるようになりました。茨城県内の法務局での手続きについては、当サイトの「茨城県の遺言書保管制度|法務局の窓口・手数料・必要書類」で窓口・必要書類をまとめていますので、あわせてご覧ください。身寄りがない方の場合、遺言書で「誰に何を残すか」だけでなく、「遺言執行者」(遺言の内容を実際に実行する人)を指定しておくと、死後事務委任契約と役割を分けて整理しやすくなります。
モノの整理をどう進めるか|生前整理の始め方
制度や契約の準備と並行して、身の回りのモノの整理も少しずつ進めておくと、後々ご自身が楽になりますし、万が一のときに対応する方の負担も大きく減らせます。生前整理の基本的な進め方は、当サイトの柱記事「生前整理とは?何をするのか・進め方を6つのステップで」で詳しく解説していますが、おひとりさまの場合は特に次の順番がおすすめです。
- 貴重品・重要書類(年金・保険・銀行口座の情報など)の場所をまとめる
- 「これだけは残したい」モノと「もう使わないモノ」を分ける
- 処分に迷うモノは一時保管し、無理に即決しない
- 定期的に見直す日(月1回など)を決めておく
今日からできる具体的なチェックリストは「生前整理のやることリスト|今日から始められる10項目」でご紹介しています。また、体力的に難しい、量が多くて自分では進められないという場合は、業者に依頼する方法もあります。依頼先の選び方は「生前整理の業者はどう選ぶ?優良業者を見分ける7つの基準」で基準をまとめていますので、検討の際の参考にしてください。
自分用の「整理メモ」を作る
次の4つを1枚の紙かノートにまとめておくと、ご自身が迷わなくなりますし、将来お願いする方にも伝わりやすくなります。書き終えたら、信頼できる方に保管場所だけ伝えておきましょう(パスワードそのものは書かないでください)。
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 書類の保管場所 | 年金・保険・銀行口座・不動産・契約書類が、どの引き出しやファイルにあるか |
| 処分の希望 | 残したいもの、写真や思い出の品の扱い、処分してよいもの |
| 実行してほしい人・窓口 | 家族、友人、専門家、依頼しているサービスの連絡先(いなければ空欄でもよい) |
| 保留にすること | 今は決めきれないこと、誰かに相談してから決めたいこと |
デジタル遺品・スマホやパソコンの整理もあわせて
スマートフォンやパソコンの中の写真・連絡先・サブスクリプションサービスの契約、ネット銀行やネット証券の口座なども、おひとりさまにとっては整理の対象です。パスワードを書き残す場合は、ノートそのものを厳重に管理する、信頼できる人にだけ保管場所を伝えるなど、取り扱いに注意が必要です。具体的な整理の進め方は「デジタル遺品の整理を業者に頼む前の確認」で解説していますので、こちらもご参照ください。
取手市・守谷市・つくば市・水戸市の相談窓口一覧
「まず誰に相談すればいいか分からない」という場合は、お住まいの市の高齢者の相談窓口・地域包括支援センターが最初の相談先になります。下記は、2026年11月2日に各市の公式サイトで確認できた内容です。電話番号は、取手市・守谷市・つくば市は市役所の代表番号で、水戸市は基幹型の地域包括支援センターの番号です。受付時間は変更されることがあるため、お電話の前に各市の公式サイトでご確認ください。
| 市 | 相談窓口(公式サイトでの表記) | 電話番号 | 受付時間(確認日時点) |
|---|---|---|---|
| 取手市 | 市役所(高齢者の相談は担当課をお伝えください) | 0297-74-2141(代表) | 平日9:00〜16:30(2026年10月1日から変更の案内) |
| 守谷市 | 介護福祉課(市役所) | 0297-45-1111(代表) | 窓口は9:00〜16:00(11月2日から短縮の案内。ページにより表記が異なります) |
| つくば市 | 福祉部 地域包括支援課 | 029-883-1111(代表) | 平日8:45〜16:30 |
| 水戸市 | 高齢福祉課 地域支援センター(基幹型地域包括支援センター) | 029-232-9110 | 平日8:30〜17:15 |
水戸市には、お住まいの地域ごとの地域包括支援センターもあります。成年後見制度の相談を受け付けているかどうかは、各市の公式サイトでは確認できませんでした。お電話の際に、成年後見制度や身元保証サービスについて相談できるかを、あわせてお尋ねください。
介護保険の申請窓口や手続きの流れについては「茨城県の介護保険の申請|市町村別の窓口と申請の流れ」でまとめています。また、取手市・守谷市では高齢者の見守りサービスも用意されており、「親が一人暮らしになったら|取手市・守谷市の見守りサービス」で紹介している内容は、ご自身の「おひとりさま」の備えとしても参考にしていただけます。
よくある質問|50代・40代から始める方、サービスを探している方へ
Q. 40代・50代から始めるのはまだ早いですか?
A. 早すぎるということはありません。判断能力があるうち、体力に余裕があるうちほど、任意後見契約や死後事務委任契約など「自分で選べる」準備の幅が広がるとされています。実際に、おひとりさまの終活は40〜50代から情報収集を始める方も増えているといわれています。
Q. おひとりさま向けの終活サービスにはどんなものがありますか?
A. 自治体の見守りサービス、民間の身元保証・生活支援サービス、死後事務委任を専門家(弁護士・司法書士・NPO法人など)に依頼するサービスなどがあります。費用や対応範囲はサービスによって幅があるため、複数の窓口で話を聞き、比較してから決めることをおすすめします。
Q. 家族がいても「おひとりさま」の備えは必要ですか?
A. 子どもが遠方に住んでいる、きょうだいが高齢で頼りにくいといった場合も、実質的にはおひとりさまと同じ備えが有効です。誰を頼れるかは家族構成だけで決まるものではないため、状況に応じてご検討ください。
Q. 身元保証や死後事務のサービスを契約する前に、何を確認すればよいですか?
A. 契約の対象になる業務、支払総額と追加費用、預託金の額と管理方法、解約したときに戻る額、相談窓口の連絡先の5点を書き出して比べてください。その場で決めず、契約書と重要事項説明書を持ち帰って確認し、不安があれば消費生活センター(消費者ホットライン188)や地域包括支援センターに相談しましょう。
Q. 預託金とは何ですか。返してもらえますか?
A. 預託金は、将来の費用にあてるために事業者に預けるお金のことです。管理方法や、解約したときに戻る額は契約によって異なります。契約書の解約・返金の条項を事前に確認し、事業者の運転資金と分けて管理されているかを質問してください。
まとめ|今日からできる3つの一歩
おひとりさまの生前整理は、①信頼できる制度・契約(任意後見・死後事務委任)を知ること、②希望を書き残すこと(遺言書・エンディングノート)、③モノの整理を少しずつ進めることの3つが基本です。まずは、お住まいの市の高齢福祉課・地域包括支援センターに「相談してみる」ことから始めてみてください。身元保証や死後事務のサービスを検討する場合は、契約前に「対象業務・総額・預託金と返金・事業者の支払能力・相談先」の5点を書き出して比べましょう。
モノの整理や生前整理の作業そのものについては、片づけDo!にもお気軽にご相談ください。お電話(0120-306-122)または無料見積もりフォームへからお問い合わせいただけます。
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