結論から言うと、親御さんの施設入居が決まったら、実家は「①そのまま維持する」「②賃貸に出す」「③売却する」の3つの選択肢から検討することになります。どれを選ぶかは、親御さんの介護状態や今後の見通し、ご家族の考え方によって変わります。この記事では、それぞれの選択肢の特徴と、茨城県内で相談できる窓口をご紹介します。

「親が老人ホームに入ることになったけれど、実家をどうすればいいか分からない」——そう感じている方は少なくありません。空き家になった実家は、放置すると固定資産税や管理の負担が続くだけでなく、老朽化のリスクも高まります。早い段階で方針を決めておくことが大切です。

実家をどうするか、3つの選択肢

①そのまま維持する

「親がいつか自宅に戻るかもしれない」「まだ判断がつかない」という場合は、当面そのまま維持するという選択肢もあります。ただし、空き家であっても固定資産税・都市計画税、火災保険料、庭木の手入れなどの管理費用は発生し続けます。誰も住まない家は傷みも早く、定期的な換気・通水・見回りが必要です。

②賃貸に出す

家賃収入で維持費をまかないたい場合は、賃貸に出す方法があります。ただし、親御さんの名義のままでは契約に制約が生じることがあるため、認知症などで判断能力が低下している場合は、家族信託や成年後見制度の活用を検討する必要があります。

③売却する

親御さんが施設に入居し、自宅に戻る見込みがない場合は、売却も現実的な選択肢です。ただし、この制度は「相続後の売却」が対象です。親御さんがご存命のまま実家を売却する場合は、この特別控除の対象にはならないため、税務上の扱いが異なる点に注意してください。

なお、相続が発生した後の売却であれば、被相続人が要介護認定・要支援認定を受けて老人ホーム等に入所していた場合でも、一定の要件(入所前に家屋に居住していたこと、入所後に他の人が住んでいないことなど)を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる「空き家の3,000万円特別控除」の対象になります(2019年4月1日以降の譲渡が対象)。適用できるかどうかは個別の事情によるため、税理士など専門家にご確認ください。

選択肢ごとの比較表

選択肢メリット注意点
そのまま維持する将来の選択肢を残せる固定資産税・管理費が継続してかかる
賃貸に出す家賃収入で維持費を補える名義人の判断能力・管理の手間が必要
売却する維持費や管理の負担がなくなる親がご存命の場合は3,000万円特別控除の対象外

実家を空き家にする前に確認しておきたいこと

名義と判断能力の確認

実家の名義が親御さん本人になっている場合、認知症などで判断能力が低下すると、本人名義のままでは売却や賃貸の契約ができなくなることがあります。施設入居を考え始めた段階で、法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得し、名義を確認しておきましょう。

「家族信託」と「成年後見制度」はどう違う?

判断能力の低下に備える制度として、「家族信託」と「成年後見制度」の2つがあります。

家族信託は、まだ判断能力があるうちに、信頼できる家族に財産管理や不動産の処分を任せる契約です。あらかじめ「実家を売却して施設費用に充ててよい」という内容を盛り込んでおけば、後で判断能力が低下しても、家族の判断で売却を進められます。

一方、成年後見制度は、すでに判断能力が低下した後に家庭裁判所が後見人を選ぶ制度です。財産の保全が優先されるため、不動産の売却には家庭裁判所の許可が必要になり、実家を売って施設費用に充てたいと考えていても、思うように進まないことがあります。

「将来、実家を売って施設費用に充てるかもしれない」という見通しがあるなら、判断能力があるうちに家族信託を検討しておくのが安心です。すでに判断能力の低下が進んでいる場合は、成年後見制度の利用が中心になります。どちらが適しているかは個別の事情によるため、司法書士や弁護士など専門家にご相談ください。

施設の費用と実家の維持費を天秤にかける

有料老人ホームの費用は、入居一時金の相場が施設によって0円〜100万円超と幅があり、月額費用は全国平均で15万円前後が目安とされています。特別養護老人ホーム(特養)などの公的施設は、入居一時金が不要な代わりに空きが出にくい傾向があります。実家を維持する費用(固定資産税・管理費)と、施設の費用を合わせて考え、無理のない資金計画を立てることが大切です。

家財・遺品の整理をどうするか

実家を賃貸に出す、あるいは売却する場合、まず家財の整理が必要になります。親御さんがご存命のうちに行う整理は「生前整理」にあたります。生前整理の進め方については、生前整理とは?何をするのか・進め方を6つのステップででも詳しく解説しています。

施設の種類による違いも知っておく

「老人ホーム」とひと口に言っても、種類によって費用や特徴が異なります。実家をどうするかを考えるうえでも、施設選びの見通しを持っておくと判断しやすくなります。

施設の種類特徴費用の目安
特別養護老人ホーム(特養)公的施設。原則要介護3以上が対象。入居一時金は不要月8万円〜10万円が目安
介護付き有料老人ホーム民間施設。介護サービスが施設内で完結入居一時金0円〜100万円超、月15万円〜30万円が目安
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)民間の賃貸住宅。見守り・生活相談サービスつき敷金数十万円、月10万円台後半〜が目安

特養は費用が抑えられる分、地域によっては入居まで数ヶ月〜数年待つこともあります。急ぎの場合は、有料老人ホームやサ高住も含めて幅広く検討することになります。

茨城県内の高齢者施設の相談窓口

老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅を探す際は、まずお住まいの市の窓口や地域包括支援センターに相談するのが第一歩です。

市担当窓口電話番号
取手市高齢福祉課0297-74-2141(代表)
守谷市介護福祉課0297-45-1111(代表)
つくば市高齢福祉課029-883-1111(代表)
水戸市高齢福祉課029-232-9174

※2026年8月時点の情報です。最新の連絡先・制度は各市の公式サイトでご確認ください。

各市には「地域包括支援センター」という総合相談窓口もあり、施設探しだけでなく、介護保険の利用方法や日常生活の心配ごとについても相談できます。窓口が分からない場合は、まず上記の高齢福祉課へ電話すると、担当の地域包括支援センターを案内してもらえます。

実家の活用について、より詳しく知りたい場合

実家が空き家になった後の相談窓口や補助金については、実家が空き家になったら|茨城県の市町村別 相談窓口と補助金で市町村別にまとめています。売却を検討する場合は、家の中に残された家財の整理から不動産の売却まで、まとめてご相談いただくことも可能です。詳しくは不動産買取・売却をご覧ください。

よくある質問

Q. 親が施設に入ったら、すぐに実家を売らなければいけませんか?
A. 決まりはありません。まずは維持費と施設費用を比較し、家族で話し合ったうえで、急がず方針を決めることをおすすめします。

Q. 親名義の家は、本人の同意なしに売却できますか?
A. 原則として、判断能力のある本人の同意が必要です。認知症などで判断が難しい場合は、成年後見制度などの手続きが必要になります。個別の事情によるため、司法書士や弁護士など専門家にご確認ください。

Q. 施設の費用が払えるか心配です。相談できますか?
A. 施設の費用や介護保険の負担軽減制度については、お住まいの市の高齢福祉課や地域包括支援センターで相談できます。

※医療・介護・法律に関する記述は一般的な情報であり、個別の事情によって扱いが異なります。詳しくは専門家にご確認ください。

まとめ

親御さんの施設入居が決まったら、実家は「維持」「賃貸」「売却」の3つの選択肢から検討します。判断能力の低下に備えた名義確認、施設費用と維持費の比較、家財整理の3点を早めに進めておくことが、後々の負担を減らすポイントです。

片づけDo!では、実家の家財整理から不動産のご相談まで承っております。お気軽にお電話(0120-306-122)または無料見積もりフォームからご相談ください。

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