親御さんが賃貸のアパートやマンションにお住まいだった場合、遺品整理には「退去期限」という持ち家にはない締め切りがあります。結論から言うと、多くの賃貸借契約では死亡後も家賃が発生し続けるため、気持ちの整理がついていなくても、なるべく早く(目安として1〜2ヶ月以内に)退去の段取りを進める必要があります。ただし、相続放棄を考えている場合は話が別で、急いで片付けてしまうと相続放棄そのものができなくなる恐れがあります。この記事では、賃貸物件の遺品整理を進めるうえで最初に知っておくべきことを、順を追ってご説明します。
「何から手をつけたらいいか分からない」——その段階でけっこうです。まずは全体の流れを知ることから始めましょう。
賃貸物件は「亡くなった日」から家賃が発生し続ける
持ち家の遺品整理には法律上の締め切りはありませんが、賃貸物件は事情が異なります。賃借権(部屋を借りる権利)は相続の対象になるため、契約者が亡くなっても賃貸借契約は自動的には終了しません。相続人が契約を引き継いだ形になり、退去の手続き(解約通知や部屋の明け渡し)が完了するまで、家賃は発生し続けます。
多くの賃貸借契約では「解約は1ヶ月前までに通知」といった条件が定められています。つまり、退去を決めてから実際に契約が終わるまでにも1ヶ月程度のタイムラグが生じるということです。これに片付けの期間も加わるため、亡くなってから概ね1〜2ヶ月を目安に、片付けと解約の段取りを進めていくご家庭が多いようです。契約書の解約条項は物件ごとに異なりますので、まずはお手元の契約書か、大家さん・管理会社への確認をおすすめします。
賃貸ならではの費用の考え方や、そもそも遺品整理はいつから始めるべきかについては、遺品整理の料金ページと「遺品整理はいつから始める?」の記事もあわせてご覧ください。
相続放棄を考えているなら、勝手に片付けてはいけない
ここが賃貸の遺品整理で最も注意していただきたい点です。故人に借金や連帯保証などマイナスの財産があり、相続放棄を検討している場合、相続人が賃貸契約を解約したり、部屋の中の物を処分したりすると「単純承認」とみなされ、相続放棄ができなくなるおそれがあります。賃貸借契約の解約は賃借権という財産を処分する行為にあたるためです。
相続放棄には、亡くなったことを知ってから原則3ヶ月以内という期限(熟慮期間)があります。この期間内に自分から遺品整理業者を手配したり、私物を持ち帰ったり、解約の手続きを進めたりするのは避けてください。どうしても緊急の対応が必要な場合(生ものの処分など、財産的価値のない物に限られます)は、大家さんの判断・手配で行ってもらい、費用は相続財産の範囲内で精算してもらうのが基本です。相続放棄をするかどうか迷っている段階では、まず弁護士や司法書士に相談されることを強くおすすめします。
なお、故人の連帯保証人になっている相続人がいる場合、その方は相続放棄をしても連帯保証人としての責任(滞納家賃や原状回復費用の支払い)は免除されません。連帯保証契約は大家さんとの間の別契約だからです。この点は見落とされがちなので注意が必要です。
相続放棄と遺品整理費用の関係は「遺品整理の費用は誰が払う?」でも詳しく解説しています。
相続する場合の進め方|退去までのスケジュール
相続する(放棄しない)ことが決まっている、あるいは財産状況からプラスの相続が明らかな場合は、次の順番で進めると迷いません。
| 時期の目安 | やること |
|---|---|
| できるだけ早く | 大家さん・管理会社へ連絡し、契約者の死亡を伝える。解約条件(通知期間・違約金の有無)を確認 |
| 1〜2週間以内 | 相続人・親族で誰が窓口になるか決める。貴重品(現金・通帳・印鑑・貴金属・権利書)を先に確保 |
| 2〜4週間以内 | 遺品整理業者に見積もりを依頼。写真や書類など「残したい物」を先に運び出す |
| 1〜1.5ヶ月以内 | 遺品整理・不用品の搬出を実施。買取できる物は買取に回して費用を抑える |
| 退去日直前 | ハウスクリーニング、鍵の返却、立会いでの原状回復確認 |
ポイントは、大家さんへの連絡を後回しにしないことです。連絡が遅れるほど家賃が積み重なり、こちらの負担が増えてしまいます。逆に早めに事情を伝えておけば、解約日の調整や搬出のスケジュールについて柔軟に相談に乗ってもらえるケースも多くあります。
遠方にお住まいで立ち会いが難しい場合の進め方は「よくある質問」ページもご参考ください。
賃貸物件の遺品整理、費用はいくら?
賃貸物件は一軒家に比べて延床面積が小さいため、遺品整理そのものの費用は比較的抑えやすい傾向があります。目安は次のとおりです。
| 間取り | 遺品整理費用の目安 |
|---|---|
| 1K・1R | 3万円台〜が目安 |
| 1LDK・2DK | 7万円台〜が目安 |
| 2LDK・3DK | 10万円台〜が目安 |
上記に加えて、退去時にはハウスクリーニング費用(2万円〜5万円程度が目安)が別途かかるのが一般的です。賃貸の場合、通常の生活で生じる自然な劣化(経年変化)については借主側の原状回復義務の対象外とされていますので、退去立会いの際に「どこまでが借主負担か」を管理会社に確認しておくと安心です。
家具・家電・貴金属・骨董品などは、処分せずに買取に出すことで実質的な費用負担を減らせます。詳しくは「遺品整理で出た品は買い取ってもらえる?」をご覧ください。片づけDo!では、遺品整理と買取査定を同時にご案内できますので、お見積もりの際にあわせてご相談いただけます。
残置物の処理に困ったら|国のガイドラインもできた
単身の高齢者が賃貸物件で亡くなり、相続人が見つからない・連絡が取れないというケースも増えています。こうした事態に備え、国土交通省と法務省は2021年に「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を策定しました。これは、入居時にあらかじめ受任者を決めておき、契約者の死亡後に賃貸借契約を解除する代理権と、残された家財(残置物)を処分する権限を委任しておく仕組みです。まだ広く普及しているとは言えませんが、今後親御さんが賃貸に住み替える際などには、こうした制度があることを知っておくと選択肢が広がります。
すでに相続人として片付けを担う立場の方は、残置物のうち処分するもの・供養するもの・買取に出すものを仕分けることになります。仏壇や写真、人形などの扱いに悩む場合は「仏壇・お人形・写真の供養」のページをご参照ください。
茨城県内で粗大ごみを出す場合の窓口
業者に頼まず、ご自身で一部の家財を処分する場合は、各市の粗大ごみ受付窓口を利用します。量が多い場合や、退去日までに時間がない場合は、業者への一括依頼のほうが結果的に早く・安心なことが多いです。
| 市 | 粗大ごみ申込窓口 |
|---|---|
| 取手市 | 環境対策課 0297-74-2141 |
| 守谷市 | 粗大ごみ受付専用ダイヤル 0297-45-5339 |
| つくば市 | 粗大ごみ受付センター 029-860-2984(平日8:45〜16:30) |
水戸市など上記以外のエリアにお住まいの場合も、お住まいの自治体の環境課に「粗大ごみ」で電話いただければ案内してもらえます。対応エリアの詳細は「対応エリア」ページもご覧ください。
よくある質問
Q. 退去の立ち会いに行けません。業者に任せられますか?
A. 可能です。事前にお電話やビデオ通話で残す物・処分する物を確認したうえで、当日は弊社スタッフが立ち会うことができます。詳しくは「ご依頼の流れ」をご覧ください。
Q. 相続放棄するかどうかまだ決めていません。それでも片付けを頼めますか?
A. 相続放棄を少しでも検討されている場合は、片付けを始める前に必ず弁護士・司法書士へご相談ください。財産的価値のない物(生ものなど)を除き、片付けを進めると相続放棄ができなくなる可能性があります。個別の事情によって判断が分かれるため、専門家にご確認いただくのが確実です。
Q. 家賃を滞納したまま亡くなった場合はどうなりますか?
A. 滞納家賃は相続人に引き継がれます。相続放棄をすれば相続人自身の支払い義務はなくなりますが、連帯保証人がいる場合はその方の責任は残ります。詳細は個別の契約内容によるため、大家さんや管理会社、必要に応じて弁護士にご確認ください。
まとめ|迷ったら「相続放棄の可能性」を先に確認
賃貸物件の遺品整理は、退去期限という時間の制約がある一方で、相続放棄を考えている場合は急いで片付けてはいけないという、一見矛盾するような注意点があります。まず確認すべきは「相続放棄の可能性があるかどうか」です。それが決まってから、大家さんへの連絡、貴重品の確保、片付け業者への見積もり依頼という順番で進めていただくのが、後悔しない進め方です。
片づけDo!では、賃貸物件の遺品整理・退去に合わせたスケジュール調整に対応しております。「何から手をつけたらいいか分からない」という段階でのご相談も歓迎です。お電話は0120-306-122(8:00〜21:00・年中無休)、お見積もりは無料見積もりフォームからどうぞ。
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