「実家が空き家になったけれど、すぐに売るつもりはない」「誰かに使ってもらえるなら、それでもいい」——そんなときに市町村が用意しているのが「空き家バンク」という制度です。結論からお伝えすると、茨城県内のほとんどの市町村で空き家バンクは無料で登録でき、取手市・守谷市・つくば市・水戸市・龍ケ崎市・牛久市など主要な市はすべて制度を設けています。ただし「すぐに売れる・貸せる」わけではなく、あくまで「情報を紹介してもらえる」制度である点には注意が必要です。この記事では、茨城県内の市町村別の空き家バンクの窓口・登録方法・補助金の有無を、各市の公式サイトで確認した内容をもとにまとめました。
空き家バンクとは?まず知っておきたい3つのこと
空き家バンクとは、「空き家を売りたい・貸したい」所有者と、「空き家を買いたい・借りたい」利用希望者を、市町村が橋渡しする制度です。多くの自治体で共通する仕組みは次の3つです。
- 登録は無料。ただし売買・賃貸の契約が成立すれば、宅地建物取引業者への仲介手数料は通常どおり発生します。
- 市は「紹介」までで、交渉や契約は行いません。実際の交渉・契約事務は、市と協定を結んだ茨城県宅地建物取引業協会などの推薦を受けた不動産会社が担当します。
- 登録できる物件には条件があります。個人所有で、賃貸・分譲目的でないこと、大規模な修繕が必要なほど傷んでいないこと、登記が済んでいることなどが一般的な条件です。
つまり空き家バンクは「不動産会社に頼むほどではないけれど、放置もしたくない」という段階の実家に向いている制度です。すでに売却や解体の方針が決まっている場合は、空き家バンクよりも不動産会社への直接売却や解体のほうが早く話が進むこともあります。迷う場合は、家財の片付けと合わせて不動産の買取・売却のご相談もあわせて承っています。
茨城県内・市町村別の空き家バンク一覧【2026年9月時点】
各市の公式サイトで確認できた内容を表にまとめました。登録要件や補助金の有無は市によって差があります。最新の内容は必ず各市の窓口でご確認ください(確認日:2026年9月)。
| 市町村 | 担当窓口 | 電話番号 | 登録料 | 関連の補助金 |
|---|---|---|---|---|
| 取手市 | 都市計画課(空家等利活用の媒介制度) | 0297-74-2141 | 無料 | 解体費用シミュレーターあり |
| 守谷市 | 都市計画課 | 0297-45-1111 | 無料 | —(登録2年ごとに更新) |
| つくば市 | 建設部住宅政策課 | 029-883-1111 | 無料 | 家財処分費補助金 上限10万円 |
| 水戸市 | 生活安全課 空家空地活用係 | 029-224-1113 | 無料 | — |
| 龍ケ崎市 | まちの魅力創造課 | 市役所代表へ | 無料 | 登録物件の購入時、改修費補助上限50万円 |
| 牛久市 | 空家対策課 | 市役所代表へ | 無料 | — |
取手市は正確には「空き家バンク」ではなく「空家等利活用の媒介制度」という名称ですが、仕組みは同じく所有者と不動産会社をつなぐ制度です。守谷市・つくば市・水戸市は「空家バンク」という名称で、全国版空き家バンク(LIFULL HOME’Sやat homeなど)にも物件情報が掲載されます。龍ケ崎市は登録物件を購入した利用者向けに改修費補助金があるのが特徴で、他市にはあまり見られない制度です。
なお、つくばみらい市・常総市・稲敷市など他の市町村にも空き家バンクに類する制度がある場合がありますが、この記事の公開時点で公式サイト上での詳細な裏取りができなかったため、表からは除いています。お住まいの市町村については、直接窓口にお問い合わせください。
空き家バンクに登録できる物件・できない物件
各市で表現の差はありますが、共通する登録条件は次のとおりです。
| 登録できる | 登録できない(ことが多い) |
|---|---|
| 個人が所有する一戸建て | 賃貸アパート・マンションなど賃貸目的の建物 |
| 現在空き家、または近く空き家になる予定の家 | 老朽化・損傷が著しく大規模な修繕が必要な家 |
| 登記が済んでいる建物・土地 | 登記がされていない建物・土地 |
| 相続手続きが完了している物件 | 相続人が確定していない、相続登記が済んでいない物件 |
特に注意したいのは「相続登記が済んでいないと登録できない」という点です。水戸市の公式サイトでも、相続が済んでいない土地・建物は登録できず、「相続人を決定したうえで相続登記を行うように」と案内されています。2024年4月からは相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内(すでに相続している方は2027年3月末までの経過措置)に登記をしないと過料の対象になる場合があるとされています。空き家バンクの登録を考えている方は、まず相続登記が済んでいるかを確認しておくとスムーズです。
登録から契約までの流れ
市による違いはありますが、おおむね次のような流れで進みます。
- 市の窓口(都市計画課・住宅政策課など)に登録申込書・登録カード・同意書などを提出
- 市の職員による現地確認
- 宅地建物取引業協会などから媒介業者(不動産会社)が推薦される
- 媒介業者と所有者が媒介契約を締結
- 市のホームページや全国版空き家バンクに物件情報が公開される
- 利用希望者からの問い合わせがあれば、媒介業者を通じて交渉・契約
登録から情報公開までは、龍ケ崎市の例では申込みから媒介業者決定まで約1か月かかるとされています。「すぐに借り手・買い手が見つかる」制度ではなく、気長に情報を出しておく制度だと考えておくとよいでしょう。守谷市・つくば市では登録期間があり(守谷市は2年ごとに更新の届出が必要)、期限が来ると自動的に登録が切れるため、更新の案内を見落とさないようにしましょう。
空き家バンクに向いているケース・向いていないケース
すべての空き家に空き家バンクが向いているわけではありません。目安は次のとおりです。
| 向いているケース | 向いていないケース |
|---|---|
| 移住・定住希望者に「住んでもらえれば十分」と考えている | できるだけ早く、確実に現金化したい |
| 建物の傷みが少なく、すぐに住める状態 | 老朽化が進み、大規模な修繕が必要 |
| 売却時期を急いでいない | 相続税の申告期限(10か月)までに現金化したい |
相続税の申告・納付は、原則として被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内とされています。この期限までに実家を現金化する必要がある場合、空き家バンクのように成約までの時間が読みにくい制度よりも、不動産会社への直接売却のほうが確実なことが多いです。「バンクに登録しつつ、並行して買取の相談もしておく」という進め方も可能です。ご実家の状態や希望のスケジュールに応じて、不動産の買取・売却もあわせてご相談いただけます。
空き家バンク登録前に済ませておきたい「家の中」の片付け
空き家バンクへの登録では、市の職員による現地確認があります。家財が残ったままだと、内見や現地確認がしづらく、登録そのものが後回しになりがちです。また、利用希望者が内見に来た際も、家財が片付いているほうが良い印象を持ってもらいやすくなります。
実家の片付けは、遺品整理・実家じまいの流れに沿って進めると迷いにくくなります。仏壇や神棚などの扱いに悩む場合は供養の記事も参考にしてください。空き家バンクへの登録を検討している段階で、家財の整理からまとめてご相談いただくことも可能です。
よくある質問
Q. 空き家バンクに登録すると、必ず売れたり貸せたりしますか?
A. いいえ。空き家バンクはあくまで情報を紹介する制度で、成約を保証するものではありません。市町村や地域、建物の状態によって、成約までの期間には差があります。
Q. 空き家バンクへの登録に費用はかかりますか?
A. 水戸市・守谷市など多くの市で登録自体は無料です。ただし契約が成立した場合の仲介手数料は、通常の不動産取引と同様に発生します。
Q. 相続人が複数いる場合でも登録できますか?
A. 水戸市の例では、共有名義の場合は代表者が申込みを行い、共有者全員の同意書を提出すれば登録可能とされています。ただし相続登記が済んでいることが前提になる点は各市共通です。個別の事情によるため、詳しくは各市の窓口にご確認ください。
まとめ
茨城県内の主要市は、いずれも無料で利用できる空き家バンク制度を用意しています。ただし「登録すればすぐに片付く」制度ではなく、成約までに時間がかかることも珍しくありません。相続税の申告期限が迫っている、早く現金化したいといった事情がある場合は、空き家バンクと合わせて不動産会社への直接売却も選択肢に入れておくと安心です。
片づけDo!では、実家の片付けから空き家の今後のご相談まで、まとめて承っています。空き家バンクへの登録を検討する前に、まずは家の中の片付けからご相談ください。お電話は0120-306-122(8:00〜21:00・年中無休)、または無料見積もりフォームからお気軽にどうぞ。
無料見積もり依頼フォーム
この記事に関するお見積もり・ご相談はこちらから。秘密厳守で対応いたします。