遺品整理の業者と契約したあとで、「やっぱり内容に納得できない」「急かされて決めてしまった」と気づくことがあります。そんなときに頭に浮かぶのが「クーリング・オフ」ではないでしょうか。「クーリングオフ」と中黒なしで書かれることもありますが、同じ制度を指します。
結論からお伝えすると、クーリング・オフができるかどうかは、契約のしかたによって変わります。事業者が自宅など営業所以外の場所で契約をする「訪問販売」にあたる場合は、法律で決められた書面を受け取った日から8日以内であれば、書面または電磁的記録(メールなど)で申込みの撤回や契約の解除ができる制度があります。一方で、住居での契約の申込み・締結をご自身が請求した場合など、制度が適用されないとされている類型もあります。
この記事では、取手市・守谷市・つくば市を中心に遺品整理のご相談をいただく片づけDo!が、特定商取引法の条文と、消費者庁・国民生活センターの公開資料にもとづいて、できる場合・できない場合の考え方と、解約の進め方を整理します。個別の契約がクーリング・オフの対象になるかどうかは、この記事だけでは判断できません。迷ったときは、消費者ホットライン188(お近くの消費生活相談窓口につながる全国共通の番号)へご相談ください。
クーリング・オフとは?遺品整理で知っておきたい基本
クーリング・オフとは、契約したあとでも、一定の期間内であれば、理由を問わず申込みの撤回や契約の解除ができる制度です(クーリングオフ制度とも呼ばれます)。訪問販売については、特定商取引法9条で定められています。消費者庁の「特定商取引法ガイド」でも、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、書面または電磁的記録によって申込みの撤回や契約の解除ができると説明されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 期間 | 法律で決められた書面を受け取った日から8日以内 |
| 方法 | 書面または電磁的記録(電子メールなど)で通知する。口頭だけでは、あとで言った・言わないになりやすいため避ける |
| 費用 | クーリング・オフをした場合、損害賠償や違約金を支払う必要はない(消費者庁ガイド) |
| 作業が始まっていた場合 | 役務がすでに提供されていても、対価を支払う必要はない。住居の現状が変えられていれば、無償で元に戻してもらえる(消費者庁ガイド) |
なお、国民生活センターが2018年に公表した「遺品整理サービスでの契約トラブル」では、「見積もりの際にせかされて契約した」「解約を申し出たら高額なキャンセル料を請求された」といった相談事例が紹介されています。こうしたときに、クーリング・オフの制度が使えるのかどうかを、まず落ち着いて確認することが大切です。
遺品整理でクーリング・オフが使えるかどうかの考え方
遺品整理の契約は、事業者が買い取り以外の「作業(役務の提供)」を行う契約です。このうち、事業者が自宅などの営業所以外の場所で契約の申込みを受けたり、契約を結んだりした場合は、「訪問販売」に当たるのが基本です(消費者庁ガイド)。たとえば、故人のご自宅や空き家で見積りを受け、その場で契約書にサインした、というケースは、訪問販売にあたる可能性があります。
一方、営業所や店舗に出向いて契約した場合は、原則として訪問販売にはあたりません。ただし、路上や電話・SNSなどで目的を告げずに呼び出されて営業所で契約させられた場合など、営業所で結んだ契約でも訪問販売に当たる場合があると、消費者庁のガイドは説明しています。
【図】できる・できないの判断の流れ(概略)は次のとおりです。あくまで一般的な整理で、個別のケースの最終判断は、消費生活センターなどの専門の窓口にご確認ください。

「見積りの依頼」と「契約の申込み・締結の請求」は同じではありません
ここで特に注意したいのが、特定商取引法26条6項1号の考え方です。この条文は、「その住居において売買契約若しくは役務提供契約の申込みをし又は売買契約若しくは役務提供契約を締結することを請求した者に対して行う訪問販売」には、クーリング・オフを定めた4条から10条までの規定を適用しないと定めています。
つまり、適用除外になる条件は、「自宅に来てもらった」ことそのものではなく、住居で契約の申込みをしたり契約を結んだりすることを、ご自身が請求したという点です。「見積りだけを依頼した」ことと、「契約の申込みや締結を請求した」ことは、同じものとは限りません。このため、見積りを依頼しただけで、この除外に当たるとは決められません。
反対に、「業者を自宅に呼んだのだから、クーリング・オフは一切できない」「業者のほうから来たのだから、必ずできる」と、一律に決めつけることもできません。どちらに当たるかは、連絡のきっかけ、やり取りの内容、契約を結んだ場所や経緯などによって判断が分かれるため、この記事では個別の事例の判断はしていません。契約書に書かれたクーリング・オフの記載(法定書面の記載事項)をご確認のうえ、わからないときは188へご相談ください。
遺品の買い取り(訪問購入)の場合
遺品整理では、「不用品や遺品を買い取ってもらう」契約が一緒になることもあります。事業者が自宅などで物品を買い取る契約は「訪問購入」と呼ばれ、特定商取引法58条の14に、訪問販売と同様に、法定書面を受け取った日から8日以内であれば書面または電磁的記録で申込みの撤回や契約の解除ができるという規定があります。
ただし、買い取りの対象となる物品や取引の内容によって扱いが変わることがあり、この記事では、対象外となる物品の範囲には触れていません。買い取りの契約をされた場合は、お渡しした書面のクーリング・オフに関する記載をご確認ください。買い取りそのものの考え方は遺品整理の買取りの記事で解説しています。なお、国民生活センターの2018年の資料は、「遺品の買い取りを目的とする相談は含まない」としていますので、あわせてご注意ください。
クーリング・オフができないときの解約の進め方
制度の対象にならない場合や、すでに8日を過ぎている場合でも、すぐにあきらめる必要はありません。次の順番で確認してみてください。
- 契約書・見積書を確認する:キャンセルの条件(いつまでなら無料か、キャンセル料はいくらか)が書かれているかを確認します。
- 事業者にまず連絡する:作業日の前であれば、日程の変更や中止に応じてもらえることもあります。連絡した日時と内容は、メモやメールで残しておきましょう。
- 納得できない請求があれば相談する:高額なキャンセル料を請求されたなど、納得できないときは、支払う前に消費生活センターへ相談します。
国民生活センターの資料では、トラブルを避けるために、契約前に「料金やキャンセル料、具体的な作業内容について事前に確認する」ことが助言されています。複数の事業者から見積りを取ること、見積書の内訳をよく確認することも、あわせてすすめられています。見積書の見方は見積もりで必ず確認すべきことの記事で、追加料金については追加料金トラブルの記事で詳しく解説しています。
クーリング・オフの通知の出し方
クーリング・オフが使える可能性があるときは、期限(8日)に間に合うよう、早めに通知を出します。消費者庁のガイドでは、書面で行う場合は特定記録郵便、書留、内容証明郵便などが薦められ、電磁的記録の場合は、送信したメールを保存しておく、専用フォームの画面のスクリーンショットを残すなど、証拠を保存しておくことが望ましいとされています。
通知文の例(ハガキや手紙の場合)
次のような内容を書いておくと、伝わりやすくなります。最終的な書き方は、消費生活センターにご確認ください。
契約解除通知書 私は、下記の契約について、特定商取引法に基づき、契約を解除します。 契約年月日: 年 月 日 契約内容:遺品整理に関する作業 契約金額: 円 事業者名・担当者名: すでに支払った代金がある場合は返金を、住居の現状が変えられている場合は、元に戻すことを求めます。 年 月 日 住所・氏名
通知を出す前後には、契約書、見積書、名刺、通知のコピー(または送信メール)を、すべて保管しておいてください。
トラブルになったときの相談先
「クーリング・オフできるのか判断がつかない」「事業者が応じてくれない」といったときは、早めに相談することが大切です。
- 消費者ホットライン「188」:お近くの消費生活相談窓口をご案内する、全国共通の電話番号です。
- お住まいの市区町村の消費生活センター(相談窓口):受付時間や場所は、各市区町村の公式ページでご確認ください。
国民生活センターも、遺品整理サービスで事業者とトラブルになった場合には、消費生活センターへ相談するよう呼びかけています。なお、このページは法律の解説にとどまり、個別の事案についての判断や、事業者との交渉の代行はできません。
片づけDo!の契約前のご説明
片づけDo!では、見積りは無料で、現地を拝見してその場で金額をご提示しています。見積り後のキャンセルもお受けしています。お支払いは作業完了後で、現金のほか、お振込にも対応しています(公開しているよくあるご質問のとおりです)。契約の前に、作業内容やお支払いの条件について、不明な点があれば何でもお尋ねください。
遺品整理で起こりやすいトラブルの全体像は遺品整理のトラブル事例と防ぐためのチェックリスト、業者の選び方の視点は生前整理の業者の選び方もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 見積りを取っただけで契約になりますか?
A. 見積りの依頼だけで契約が成立するとは限りません。ただし、見積書や契約書にサインをした場合や、日程を確定させた場合は、契約になっている可能性があります。書面に「契約書」「申込書」などの文言がないかを確認し、迷ったときは、署名の前に一度持ち帰って検討しましょう。
Q. 8日を過ぎてしまったら、解約はできませんか?
A. クーリング・オフの8日は、法定書面を受け取った日から数える期間です。事業者が事実と違うことを告げたり、威迫して困惑させたりしたために期間内に行えなかった場合は、期間を過ぎていてもクーリング・オフができる場合があると、消費者庁のガイドは説明しています。また、期間を過ぎた場合でも、契約書のキャンセル条件に沿った解約の道があります。早めに188へご相談ください。
Q. すでに作業が始まっていたら、クーリング・オフはできませんか?
A. クーリング・オフが使える契約であれば、役務がすでに提供されていても、対価を支払う必要はないと、消費者庁のガイドは説明しています。ただし、その契約が対象かどうかの判断が必要ですので、まず消費生活センターへご相談ください。
Q. 口頭で「やめます」と伝えれば足りますか?
A. 法律上、クーリング・オフは書面または電磁的記録で行うと定められています(特商法9条1項)。口頭で伝えた場合も、必ず、あとからメールや書面でも通知を出し、証拠を残しておきましょう。
まとめ|迷ったら「書面の確認」と「188」
遺品整理のクーリング・オフは、契約のしかたで使えるかどうかが変わります。訪問販売に当たる場合は、法定書面の受領日から8日以内に、書面または電磁的記録で申込みの撤回や契約の解除ができます。住居での契約の申込み・締結を請求した場合の適用除外(特商法26条6項1号)は、「見積りの依頼」とは区別して考える必要があり、見積りを依頼しただけで決まるものではありません。ご自身のケースが判断できないときは、消費者ホットライン188へご相談ください。
片づけDo!は、取手市・守谷市・つくば市を中心に、遺品整理のご相談をお受けしています。契約前の不安や、見積りの内容についてのご質問だけでも、どうぞお気軽にお電話ください。
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